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ある工場経営者の手記
ある工場の経営者は妻と子と仲むつまじく暮らし、工場経営も順風満帆、職員達も不満なく仕事をした。ある日、経営者の妻子が行方不明になった事件性あるものと思われたが行方知らずのまま時はすぎ、経営者は精...

中野ブレードランナウェイ
「本降りの雨が霧雨に変わる夜の頃」
とあの人が言ったのを思い出して数刻。
ポン引きを装う黒服男が現れる。
傘を上げた男はこちらを見るなり、
「長くこの仕事をしていると、一般人か客か、...

裏路地ラビリンス立石
下車直後から昭和の香がする繁華街。
道端では夫と孫の話題で井戸端会議の主婦。
通りすがりの猫。
立ち呑み所では親父のブルースが聞こえ、
ママは合いの手を打つ。そんな哀愁の街の片隅に広が...

路地裏のアジト
店内カウンターの端に腰掛け、メニューには無い
”赤い記憶を一つ”と申し付ける。
御注文の品はございませんと断られる。
その後”ではブラッディマリーを”と申し付ければ
アジトへの裏口が開か...

午前0時の遊戯
子供のころ、朝起きるとおもちゃの場所が変わっている。人の目に触れぬ様、真夜中におもちゃが動き出し、こちらの世界とあちらの世界を行き来する。無感情に、静謐に、転げ回り、戯れる。そんな妄想に今だ耽っ...

小路にてお待ちしております。
終電車を逃した深夜の金曜日
雨脚から逃れる様に
高架沿いをゆくと、
突如ぽっかり開いた
闇の小路が姿を現した
気が付くと雨は止み、
生暖かい風と共に、
祭りばやしが聞こえて...